ダイエットの為にカロリー控えめにしたけれども痩せなかった。
または、すごくリバウンドしてしまった。
糖尿病でカロリーを抑えて毎日記録したが改善しなかった。
そのような経験はありませんか。
それは努力が足りなかったのではなく、やり方がちょっと違っていたからです。
カロリー控えめにこだわり過ぎて、大事なことを見落としてしまったのかもしれません。
従来、カロリー控えめの考えから、油はあまり良くないと捉えられていました。
実は、その油にもいろいろ種類があり、働きも異なるのです。
いろんな油がバランスを取りながら、からだの中で作用しています。
上手に油を選び使うと様々な働きを助けるのです。
生活習慣病の予防になったり、心の安定に繋がったり、免疫力をアップしたり、多くの効果を期待できます。
私達も他人を見る時、ある一面だけで見てしまってはその人のよさを見落としてしまうことになります。
油をもう一度見直してみましょう。
そして、あなたにとって味方となる、種類や働きを発見し、使ってみましょう。
何も多くをとる必要はありません。
少しの量で偏っていたバランスが調うことを感じることも大切です。
あぶらというけれど、この「油」とこっちの「脂」の違い
油と脂、どちらも「あぶらと読みますが、両方を合わせて油脂と言います。
炭水化物、タンパク質、脂質の三大栄養素の中で、油脂は脂質に含まれます。
生物中に存在している水に溶けない(溶けにくい)物質を総称したものが脂質です。
油とは
常温で液体です。(サフラワー油、大豆油、コーン油、ごま油、菜種油など)
多くは植物性ですが、イワシの油は常温では液体なのでこちらの油です。
脂とは
常温で固体です。(牛脂、バター、ラードなど)
多くは動物性ですが、カカオ脂は植物性ですが固体なのでこちらの脂です。
油脂はどんな働きをするか
からだにとってなくてはならない様々な働きをします。
脳の神経や伝達機能に関わる
脳は約60%が油(脂質)からできています。
ですから、どういう油を摂るかで脳の神経の働きや、脳の情報伝達がスムーズに行われるかに影響してきます。
認知症やうつの方も増えていますが、油が脳に影響するということがわかっているのですから、そのような油を上手に食事に取り入れたいものです。
細胞膜を作る
60兆個あると言われている細胞の外側の細胞膜を作っています。
細胞の外と内を分けることで、細胞内が機能できるように働いています。
体温維持
体温を保ち、活動するエネルギーとなります。
肌や髪のうるおいを保つ
皮膚の表面で、水分の蒸発を防ぎます。
からだの水分のバランスを保ちます。
油脂の種類を脂肪酸で分ける
脂肪酸は、脂質の主となる構成成分です。
基本構造式はCnHmCOOH で表されます。
炭素(C)と炭素の間に二重結合が無い飽和脂肪酸と、二重結合があるが不飽和脂肪酸に分けられます。
不飽和脂肪酸には、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸があります。
一般にこれらが混ざっていて、割合の多いもので表示されています。
飽和脂肪酸とは
炭素と炭素の間に二重結合のない飽和脂肪酸は化学的に安定していて固体の状態です。
動物性脂肪に飽和脂肪酸が多いです。
動物性では、肉類やバター、ラードなどに多く含まれます。
植物性では、ココナツオイル、パームオイルなどに含まれます。
エネルギー源となる。からだの構成成分になります。
摂り過ぎると、中性脂肪やコレステロールが増えて、血液の質が悪くなったり、固体で固まるので、体脂肪となって蓄積してしまう恐れがあります。
不飽和脂肪酸とは
炭素の間に二重結合が一つあるものを一価不飽和脂肪酸、二つ以上あるものを多価不飽和脂肪酸と言います。
体内では液体の状態なので、太りにくい油です。
エネルギー源となったり、細胞膜の材料として使われます。
一価不飽和脂肪酸
オメガ9系列(二重結合の位置によって数字が決められる)
一価不飽和脂肪酸は体内で作ることができます。
代表はオリーブオイルです。
不飽和脂肪酸の中で最も酸化されにくく安定している、生でも使えるし、炒めたり、揚げたり熱を加える料理にも使えます。
動脈硬化や、心臓病、高血圧を予防する働きがあります。
多価不飽和脂肪酸
体内で作ることができない為、必須脂肪酸と言われます。
細胞や組織を作る
炭素結合が2つ以上あり、最初の二重結合がどこになるかで、オメガ3系列、オメガ6系列に分けられます。
オメガ6系列
リノール酸(サラダ油、大豆油、サフラワー油、サンフラー油、コーン油、ごま油など)
からだに必要で、オメガ6系列の油は血中コレステロールを下げると言われていますが、最近はいろんな食品に入っていて、知らないうちに摂り過ぎてしまっていることが問題点です。
お菓子、即席めん、食パン、加工品、ファーストフード、マヨネーズ、ドレッシングなど調理用の油より、これらから多くの油を摂ってしまっています。
そうすると、アラキドン酸という物質が作られ、アレルギーや炎症、がんなどのリスクを高めてしまいます。
天ぷらや揚げ物をいつも作る方は、リノール酸の油だけ使うのではなく、オリーブオイルも使うとよいでしょう。
オメガ3系列
EPA、DHA
魚の油、特に青魚に多く含まれます。
脳の働きを良くしたり、血栓を予防したり、中性脂肪を減らしたり、動脈硬化の予防になったり、生活習慣病全般の予防に繋がります。
また、精神を安定させる働きもあります。
α―リノレン酸(えゴマ油、亜麻仁油)
体内で代謝され、EPAやDHAになり、アレルギーや炎症、がんなどを抑制する油です。
リノール酸とのバランスが大事です。
リノール酸とα―リノレン酸の割合が、4:1が理想的と言われていますが、現代人は多くの食品から油を摂り過ぎていて、10:1ぐらいになってしまっているようです。
よって、現代人はオメガ3系列の油を積極的に摂る必要がありそうです。
ただ、注意点は、これらの油は参加しやすいので、炒めものや揚げ物には向かないです。
その時は、オメガ9系のオリーブオイルがお勧めです。
一日の油の摂取量は、いろんな種類を合わせて、大さじ2~3を目安にしましょう。
熱に弱い、えゴマ油、亜麻仁油の使い方例
- お味噌汁にかける。
- ご飯に少しかける(個人的には、亜麻仁油+鰹節+醤油をご飯に載せるのが好きです。)
- 納豆や豆腐にかける。
- サラダにかける
外食の多い方など、「MY(マイ)油」など忍ばせておいて使ってみてはいかがでしょうか。
気を付けたい油!不飽和脂肪酸の一種、トランス脂肪酸
WHOは2003年、トランス脂肪酸の1日当たりの摂取量を総エネルギーの1%未満に抑えるよう勧告しました。
国によっては禁止している国もあります。
天然の不飽和脂肪酸のほとんどはシス型という化学構造です。
トランス型というのは、天然のものにも若干は含まれますが、ほとんどは油脂を加工したり精製した結果できます。
トランス脂肪酸の多いものは、マーガリンやショートニング、ケーキ、スナック菓子、ドーナッツ、ファーストフードインスタント麺類など、様々な食品に含まれています。
心血管系のリスクがあると言われています。
上記のような食品を摂り過ぎると、トランス脂肪酸を摂取しすぎるので注意が必要です。
ただ、これは絶対食べてはダメ!と捉われるとストレスになったり、楽しみが減ってしまう人もいるでしょう。
ケーキやお菓子が大好きで、人生の楽しみの1つであったり、幸せや喜びを感じる人も多いと思います。
その思いは、脳から幸せ物質のホルモンを分泌したり、それもその方には必要なのかもしれません。
昔、「ハレの日とケの日」とありました。
ハレの日、お誕生日とか特別な日、その時に食べる「特別食」、ケノ日は「日常食」とメリハリがありました。
上記のケーキとかお菓子とか、毎日食べるのではなく、一週間に1回とか2回とか決めて、その日は少し高くてもよいから美味しいもの、あまりトランス脂肪酸のはいってないものを選ぶとよいでしょう。
いつも食べないのだから、その時は奮発してもよいと思います。
そうすると、一段と美味しさや喜びがましたり、その日はワクワクしたり、そんなふうな幸せな食べ方はいかがでしょうか。
最後に
私達は、とかく情報を受け取った時に極端に反応しがちで、「油はダメ!」と偏った捉え方になりがちです。
人間にも性格があるように油にもいろんな性質があります。
それを理解して、上手に利用していきたいものです。
カロリー控えめ一辺倒になって、あまり健康状態に変化のなかった方は、油の種類や摂り方を少し変えるだけでも健康状態も変わってくることでしょう。
試してみましょう。
中には、いつも量を気にせず使っていた油に比べて高いから、と躊躇する方もいらっしゃるかもしれません。
製造するときに、手間のかかるものは高めになることが多いものです。
ですが大量に使う必要はありません。
少しの量を有難く、ちょっと工夫して食事に加えるとよいのです。
しかも、熱に弱いえゴマ油や亜麻仁油などは、お料理を気にせず、できたものにさっとかけてもよいので、とても簡単です。
このように健康の常識と言われていたことも、どんどん変わってきています。
絶対ということはないかもしれません。
ですから自分で試して、自分のからだの声を聴くということが大切なのです。
また、いろんな種類の油がありますので、その香りや味覚も楽しんでいただくと五感の働きも良くなることでしょう。
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